Event Report: C&Cユーザーフォーラム & iEXPO 2017

NEC未来創造会議

第5回NEC未来創造会議は、1年の活動の締めくくりとして、「C&Cユーザーフォーラム & iEXPO 2017」の会場において公開で実施されました。講演とパネルディスカッションの2部構成となり、第1部は、ニューヨーク市立大学教授のミチオ・カク氏、および、『WIRED』誌 創刊編集長のケヴィン・ケリー氏の基調プレゼンテーションが行われました。

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基調プレゼンテーション
「2100年のテクノロジー」

ミチオ・カク氏(ニューヨーク市立大学 理論物理学 教授)

100年前の先祖は、
私たちを魔術師だと思うだろう

本日は、皆様に不可能なことをお見せしたいと思います。つまり、この世界が100年後にどんなものになっているのか、予測をしようと思います。私は物理学者です。占い師ではありません。もちろん、未来は占えるものではありません。でも、物理学者や科学者に相談をし、彼らが実験室の中で作り上げている未来について聞かせてもらうことはできます。私は世界の一流の科学者300人にインタビューをして、未来はどうなっているのかということを聞いてきました。

ミチオ・カク氏の写真

ニューヨーク市立大学 理論物理学 教授

ミチオ・カク氏

2100年を理解するために、今から100年前の世界はどのようなものだったのか、考えてみたいと思います。我々の祖父母が見た世界はどうだったか。1900年当時は、つらい時代でした。人は、40歳まで生きられれば幸運だとされていました。一人の医者が1900年代に日記を付けていました。その日記の中で、その医者は書いていました。薬を持っていると。ただ、自分が持っている薬は全てまがい物だと。自分は患者に「これが効くよ。妙薬だよ」と言うのは、噓だと分かって話していました。さらに、薬のうち、効果があるのは2つだけだと書いていました。まずは、のこぎり。病に侵されている腕や指や脚を、のこぎりで切り落としていたのです。それからもう一つが、モルヒネやオピオイドなど、指や脚を切断する時に痛みを忘れるようなものだけだったのです。

では、その時の我々の祖父母が私たちの生活を見たら、どう思うでしょうか。まるで、私たちが魔術師なのではないかと思うでしょう。例えば、宇宙船で衛星を宇宙に送り込むこともできます。インターネットで、世界のあらゆるところと瞬時にコミュニケーションができます。また、超音波の速度で動くこともできます。
それでは、未来について考えてみましょう。まず、次の20年ですが、AIの産業は自動車産業を凌ぐほどの規模になるでしょう。その設計や修理、メンテナンス、製造、点検、ロボットなどの作業が経済の大部分を占めるようになります。皆様が乗っている自動車もロボットになります。車と会話をすれば、喧嘩もするでしょう。車は勝手に停車、駐車をしてくれます。腕時計をトントンと叩いて、車に「駐車しなさい」と命令をすれば済むようになります。
医者と話したいという時には、ロボットの医者と話ができます。このロボット医者は壁紙の中にいたり、腕時計の中にいたりします。そのロボット医師と話せば、無料で健康のためのアドバイスをもらえます。今後、医療は革命的な変革を遂げるでしょう。
また、外国で車の事故にあったとします。法律も分からない。弁護士に相談をしたい。そんな時にも心配は無用です。腕時計の中のロボット弁護士に相談すればいいのです。

特別講演の様子

20年後の世界はこのようになっているでしょう。AIのシステムを私たちは色々な場面で使うでしょう。法律を解釈したり、医療の相談をしたり、株式市場を理解したり、不動産の相談をしたり、そんなことが可能になるのです。

2100年頃の子孫は、
神のような力を持っているのだろうか

では、違うポイントです。この先、もし皆様がご自身の孫に2100年の孫に会うことがあったら、孫のことをどう思いますか。恐らく彼らはまるで神様のような力、能力を持っていると感じるでしょう。

まずはギリシャ神話の様々な神について見ていきます。ヴィーナスは有名な神です。非常に完璧な肉体を持っていました。不死身です。医療は今、その方向に進んでいます。ほとんどの病気を治すことができるようになります。そして次なる目標は、ある種の不死身を手に入れるということです。というのも、なぜ人間は死ななくてはいけないのか。なぜ歳をとらなくてはいけないのか。それを疑問に感じています。

特別講演の様子

この加齢のプロセスの裏にある遺伝子についての理解が進んでいます。何千人もの年配の人の遺伝子を、何千人もの若い人の遺伝子と比べることができます。そして、どういったところでエラーが出ているのか。老化はつまり、遺伝子や細胞がエラーを、ミスを積み重ねることによって起きています。遺伝子セラピーを通して、こうしたものが摩耗してくる時に治していくのが目的になります。

ヴィーナスは完璧な肉体を持っていましたが、今や人間も自分の細胞を使って、そこから人体の色々なパーツを作ることができます。耳を作ったり、他の臓器を作ったり。ヴィーナスは不死身でしたが、我々の場合には、デジタルな不死身になることも可能でしょう。

もう一人、有名な神がゼウスです。ゼウスはあらゆる願いを叶えることができました。未来の私たちはテレパシーで考えを伝えることができます。人間の脳をコンピューターに繋げることで、メッセージを送ることができるのです。
未来の世界のインターネットは、ブレインネットです。ブレインネットを経由して、感情や気持ち、そして五感の感覚を送ることができます。

そして、メリクリウス。彼はスピードの神でした。彼のように、空飛ぶ自動車というのも実現しそうです。ウーバー(Uber)は今、空飛ぶ自動車を、超音速輸送機を作ろうとしています。東京からニューヨークまで今は12時間かかります。しかし、将来的には超音速輸送機により、たった3時間で行き来ができるようになるかもしれません。輸送も革命の時代を迎えるわけです。

神のような力には、
偉大な知恵が必要になる

このように、私たちは神の力を持つようになってきていますが、ここで、欠けているものがあります。もし私たちが神のような力を持つのであれば、偉大な賢い王様・ソロモンのような知恵も持たなければなりません。

特別講演の様子

聖書の中で描かれているソロモンは、偉大な賢い王様でした。ある時、二人の女性が二人の子供を持っていました。ところが、ある夜、赤ちゃんの一人が死んでしまいます。残る子供は一人、そして母親が二人。その二人の母親は翌日、一人残っている子供は自分の子供だと争い始めます。では、一体本当の母親は誰なのか。ソロモン王のところに相談に行きます。すると、ソロモン王はこう言います。「では、赤ちゃんを半分に切ってしまえ。半分ずつ、母親が取っていけばいいではないか」。一人目のお母さんは言います。「それは公平だ。私は子供の半分をもらうことができる。もう一人も残り半分をもらうことができる」と。ところが、二人目の母親はこう言いました。「いいえ。そんなことをしないで。赤ちゃんを半分になんて切らないでください。それだったら、最初の女性にこの子をあげます。この子供は生き続けなければなりません」。そして、ソロモン王はこう言います。「本当の母親が誰だかわかった。二人目の女性だ。この子供を生きさせるために母親としての権利を放棄しようと考えている」。そういう知恵が必要です。

ギリシャ神話の神のような力を持つのであれば、私たちは知恵を持つ必要があります。それは、やはり民主的な議論から生まれるものです。民主的な議論、非常にパワーを持っている技術、神のような力を持つ技術、これが人類のために使われるようにすることに、そして我々みんなが公平に、繁栄を享受できるように、あらゆる発明がより良い社会のために使われるように、です。平等の社会、チャンスをもたらす社会、そしてサイエンスが繁栄の原動力となる社会です。


> ケヴィン・ケリー氏(『WIRED』誌 創刊編集長)のプレゼンテーション・ページ
「コンバージェンスとダイバージェンス、その中での人間の可能性」を開く

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